No.88(4月1日)


ヒューマン・ネイチャー(01年アメリカ・フランス)

監:ミシェル・ゴンドリー
脚:チャーリー・カウフマン
出:ティム・ロビンス/パトリシア・アークウェット/リス・エヴァンス

 あまりのオバカな展開にうれしくなってしまうよ。ネズミにテーブルマナーを教える実験に一生を捧げている博士ネイサンと異常に毛深い女ライラのカップル。その二人がデート中に偶然見つけた自分を猿だと思い込んでいる男パフ。というふうにこの主人公3人がぶっ飛んでいる。おまけにそれぞれがぴったりのはまり役でうれしい。

 ネズミに対する実験も笑えるけどそれをそのままパフに応用するなんて、もうムチャクチャ。この過程のリスの演技は最高で「文化」「文明」「人間性」「セックス」全てを笑い飛ばしているよう。博士と出会う前のライラの暮らしぶりもおかしすぎ。

この予測不可能な物語は、あの超ヘンテコリンな「マルコヴィッチの穴」の脚本家が書いたということで納得。

 そして忘れてはならないのが影の主役とも言うべき、キュートでラブリーな2匹の実験用マウス。ラストのそのけなげなお姿にはただ涙を流すのみである。




マップ・オブ・ザ・ワールド(99年アメリカ)

監:スコット・エリオット
脚:ピーター・エッジス/ポーリー・ブラット
出:シガニー・ウィーバー/ジュリアン・ムーア/デイヴィット・ストラザーン

 さすがシガニー・ウィーバー。どんな逆境にもへこたれずに、むしろ強くなっていくのは宇宙で鍛えたからかしら、と思わず納得してしまったほど。

 不幸の連続、てんこ盛り。保険の先生をやっている彼女は預かった親友の子供を事故で死なせてしまう。その涙も乾かないうちに今度は生徒を性的に虐待したということで逮捕されちゃうのよ。刑務所でもいじめられちゃうし。これは普通だったらドヨヨ〜ンと暗いだけのお話になりそうだけど、シガニーの強さと、それを支える夫のちょっとすっとぼけたキャラクター、親友のジュリアンらの演技によってそうはなっていないのが良いね。そしてこの3人の演技で淡々としすぎな映画が救われたという感じ。ということでもうちょっと盛り上げてくれるところがあれば涙も出たかも。




ぼくの神さま(01年アメリカ)

監・脚:ユレク・ボガエヴィッチ
出:ハーレー・ジョエル・オスメント/ウィレム・デフォー/リアム・ヘス/リチャード・バーネル

 オスメント君はとってもうまくて、さすがだな〜とは思えるんだけどちょっとその演技に飽きてしまった感じ。ちょっと休養した方がいいんじゃないかしら。もう相当稼いだであろうし。それに子供の群像劇にスターはいらなかったのでは、という気もする。

 アメリカって子役の層が厚い、というかうまい子が多いね。特にリアム・ヘスはオスメントに一歩も引けを取らない演技でお見事。幼いんで演技と意識しているかは知らないけど、その笑顔、表情は自然でそれ故にラストは衝撃的。

 ナチス占領下のポーランドの小さな村が舞台。そこにユダヤ人狩りを逃れるために親と離れて一人送られてきたロメック少年。いじめがあり、けんかが有り、淡い恋があり、と盛りだくさんのエピソードから戦時下で一所懸命生きる子供たち、そして大人たちのつらさがリアルに伝わる。のだけれども「感動」というところまではいかなかったな〜。




エネミー・ライン(01年アメリカ)

監:ジョン・ムーア
脚:デイヴィット・ヴェローズ/ザック・ペン
出:オーウェン・ウィルソン/ジーン・ハックマン

 僕はとっても戦争が好きだ。そのために海軍に入ったのに毎日毎日、偵察飛行ばかり。面白くないので上官に退役を願い出た。そしたら上官のヤツ、クリスマスの日に偵察飛行を組みやがった。

 今日も退屈な飛行かと思ったら、なんと敵のミサイル攻撃を受けて適地のど真ん中に墜落してしまった。それからが大変。何度も死にそうな目に合ったんだ。でもこれこそ僕の求めていたものだ。そしてもちろん強運な僕のこと。なんとか無事に帰還。お手柄も持ってね。

 やっぱり戦争は面白いや。退役はやめた。これからも海軍でバリバリ戦うぞ。

 という戦争好きな若者の物語であり、正義の戦争の肯定で結局そこに行くのねという、なんかヤナ感じの映画であった。




聖石伝説(00年台湾)

監・脚:黄強華

 全ての願いがかなう「天問石(てんもんせき)」をめぐる戦い、友情、愛を描いた人形劇。とはいってもただの人形劇ではないのだ。台湾の伝統的な芝居に最新のSFXと細かいカット割り、アップの多用を加えることによる異常なスピード感と迫力。もう、これは観てびっくりするしかないのだ。香港映画以上のワイヤーアクション、剣による殺陣に加えて、大爆発の連続。ハリウッドを超えたという宣伝にも納得。

 人形の作りはもちろん素晴らしいのだが、それにも増して効果的なのは背景。細かいところまで精緻な作りの建物は必見だし、海や竹林での野外ロケも超自然的な雰囲気が漂っていて良いわ。海でのロケでは人形師は溺れかけたんだって。

 善玉、悪玉共に個性的なキャラクターで、台湾ではキャラクターごとにファンクラブがあるらしい。この壮大な世界での物語はとっても面白くて早く続編が観たいものだ。でも作るのに3年はかかるらしい。




がんばれリアム(00年イギリス)

監:スティーブン・フリアーズ
脚:ジミー・マクガヴァン
出:イアン・ハート/クレア・ハケット/アンソニー・ボロウズ/ミーガン・バーンズ

 1930年代のリバプール、貧しいながらも幸せそうに暮らしている5人家族。その末っ子の7歳の少年がリアム。内気だけれども優しい心の持ち主。でも父親が失業してからは災難続きで家族の気持ちも離れがち。

 極端な貧乏って心まで貧しく荒んでいってしまうものなのだね。父親は怒りをまるで関係ないことにぶつけて自滅の道をまっしぐら。でも明日の自分の姿かも知れない。お金持ちとまではいかなくても余裕をもって生きたいものだ。

父親も怒りをぶつけているのだけれど、教会への寄付を今日のパン代もない人からとるのはあまりにもひどい。それにこの地区の牧師は地獄とか罪の話ばかりで子供に恐怖心を与えるだけなのね。宗教のことはよく分からないけど、なんか変。

 長女のテレサ役のミーガンの繊細な表情が素晴らしい。15歳くらいかしら。ベネチア映画祭で最優秀新人賞をもらったというのも納得。

 でも映画的には何を言いたいのかよく分からなかったな〜。個々のエピソードも頭で考えすぎている感じだし、誰にも感情移入できないのよね。救いようのないラストも好きじゃないわ。




アメリカン・スウィートハート(01年アメリカ)

監:ジョー・ロス
脚:ピーター・トラン
出:ジュリア・ロバーツ/キャサリン・ゼダ・ジョーンズ/ジョン・キューザック/ビリー・クリスタル

 映画業界の内幕を描いたドタバタコメディーで、役者達も気楽にやっているような雰囲気で楽しめた。欲を言えばもっとクレイジーなギャグも欲しかったな〜。

 別れた途端に人気は凋落の一途。そんな元カップルが仲の良いふりをして映画のPRのために記者の前に姿を現すのだけれどもトラブル続発。キャサリン・ゼタ=ジョーンズが人気俳優の役でその付き人で妹がジュリア・ロバーツ。姉は極端な自己中心的なヤツだけど、こんなのハリウッドでははいて捨てるほどいるんだろうね。というよりもっとすごそうだ。ジュリアが彼女の影に隠れて耐える心優しき女性なんだけど、ちょっと似合わない気も...。そんな二人に精神に異常を来している元夫、作品をヒットさせるためなら手段を選ばない宣伝マンが絡んで、大騒動。この宣伝マンをビリー・クリスタルが演じていて、主演と間違えるほど出番が多いと思っていたら自分で脚本も書いているのね。

 特殊メイクでちょっと小太り気味のジュリアが見られるんだけども、そのほうが健康的で魅力的かも。




=僕のお気に入りの映画(^0^)
next page 2002 contents