No.152(4月3日)


ヒストリー・オブ・バイオレンス

05年アメリカ 96分
[監]デビッド・クローネンバーグ
[脚]ジョシュ・オルソン
[出]ビゴ・モーテンセン/マリア・ベロ/エド・ハリス/ウィリアム・ハート

ドロドログチャグチャが好きなクローネンバーグが放つ正統(?)サスペンス。ということで変態じゃないクローネンバーグも良いね。

田舎町で食堂を営むトムは妻エディと子供たちと幸せな日々を過ごしている。妻を愛し、子供たちを気にかけ、ホントに理想的な穏やかな夫。ある日、二人組の強盗に店を襲われるが逆に撃ち殺してしまう。そのことで有名になった彼にある男が執拗に接近してくるため、今度は家族を巻き込んでの事件になってしまう。

理不尽で不思議な世界に迷い込むお話かと思っていたら割と真っ当。でも次がどうなるかドキドキ。そしてビゴ・モーテンセンの静かな佇まいに逆に闇の深さを感じてしまう。二度目の事件で家族の絆が崩壊していくのか?それとも...。ラストのトムとエディの眼差しが印象的。愛と暴力の間で果たしてこの後どうなるのかあれこれ想像してしまう。

階段でのセックスのシーンがあるんだけど夫婦のぎりぎりの心情が感じられて凄い演出。それにしてもあれは痛そうだな〜。あんなところでやるもんではないよ。そしてその後に続くシーンで巨大なぼかしが出現。久しぶりに見てしまってびっくり。




イーオン・フラックス

05年アメリカ 93分
[監]カリン・クサマ
[脚]フィル・ヘイほか
[出]シャーリーズ・セロン/マートン・ソーカス/ジョニー・リー・ミラー/フランシス・マクドーマンド

あのシャーリーズ・セロンがなんとSFアクションに登場。そしてアクションの90%以上は自分で演じたとのこと。とは言っても撮り方が悪いのか迫力がイマイチ伝わってこないのが残念。180cmもあるし、スタイル抜群なのでもうちょっと見せ方工夫してくれれば最高に興奮できたのではないかしら。コスチュームもかっこいいのだけれどもうちょっとエロくてもバチは当たらんだろうって思うのだよ。と文句を言ったけどホントは彼女を見ているだけで満足なのであった。ホンマにきれいやわ〜。黒髪も似合っているし。

2011年、ウィルスによって人類のほとんどは死滅。それから400年後生き残った者たちはブレーニャという周囲から隔離された都市で生活している。しかし、過剰な管理社会に反対するモニカンという組織は最精鋭のひとりイーオンに君主暗殺を命じるのだった。

というストーリーで意外な展開があるにも関わらず若干ぬるめで、手に汗握るということにはならなかったのでつまらないってことではないのだが、全体的には印象が薄い映画となってしまった。




★THE MYTH 神話

05年香港 120分
[監][案][脚]スタンリー・トン
[総][出]ジャッキー・チェン
[出]キム・ヒソン/チェ・ミンス/レオン・カーフェイ/マギー・ラウ/マリカ・シェラワット

いや〜キム・ヒソンってえらくべっぴんさんやな〜。インドのマリカ・シェラワットさんってちょっとエロくてこれまたべっぴんさんやワ。そしていつもと雰囲気が違う武侠アクションのジャッキーということで面白かったよ。2200年の時を超える愛っていうから「テラコッタウォリアー」みたいに生まれ変わってもひきあう二人の物語りかと思ったら全然違って新鮮。秦の時代に生きる将軍と現代に生きる考古学者のストーリーが交互に展開する。で、この二つのストーリーがキム・ヒソンによってラストに一つになるんだけど、切ないと思うか、え〜、そうなってしまうの〜と納得いかないか、ちょっと微妙。何れにせよせっかくしんみりとしたラストなので今回はエンドロールのNG集は蛇足であったと思うのだ。

現代のストーリーはいつものコミカルな追っかけアクションが楽しい。レオン・カーフェイのモタモタぶりが笑えるし。秦の時代のストーリーは皇帝に忠義を尽くす将軍の姫を守るということで真面目な展開でありながら微妙な感情の起伏があって見ごたえ十分。特に剣による壮絶アクションが素晴らしい。

そしてラストのワイヤーワークを駆使した無重力空間でのアクションも見ごたえがある。無重力空間なので空飛んでも違和感ないし。ということでジャッキーの様々な面が堪能でき、美女も、ということで満足なのだ。




SPL 狼よ静かに死ね

05年香港 93分
[監]ウィルソン・イップ
[脚]セット・カムイェンほか
[出]ドニー・イエン/サモ・ハン・キンポー/サイモン・ヤム/ウー・ジン

凄い!凄すぎます。大興奮です。何がって久々に本物の壮絶アクションを観てしまったのだもの。サモ・ハンとドニー・イエンのプロレス技も取り入れながらのぶっ飛びバトル、手に汗握るドニーとナイフ使い(このウー・ジン若いけど素晴らしい〜)の死闘。観ていて心拍数が上がりっぱなしで映画館を後にしたらグッタリ疲れちゃいました。

もちろんそれだけじゃなくて、死闘の合間にちょっとした和みのエピソード入れたりで緩急自在のストーリーも素晴らしいです。「え〜!!!」そりゃないじゃんというラストのバトルの顛末に戦慄。そしてその後のラストシーンでは哀しすぎ〜、って泣けちゃうのですよ。

暗黒街の頂点に君臨するポーの逮捕のために違法な捜査をしている特捜班。でもやり過ぎてしまって逆に暗殺者に狙われてしまい、殺るか殺られるかの戦いに...。という話しで久々にサモ・ハンを観たのだけど今回は悪役。これがホントに怖いのよ。それでいて家族に向ける優しさ。そのギャップ差故に迫力満点。そしてもう57歳というのに体のキレが全然衰えてないの。感動ものです。マジで。

ということでアクション映画好きな人は必見です!!新宿でしかやってないけど見逃したら一生悔やむ事になるでしょう。




ミュンヘン

05年アメリカ 164分
[監][製]スティーブン・スピルバーグ
[脚]トニー・クシュナーほか
[出]エリック・バナ/ジェフリー・ラッシュ/ダニエル・クレイグ/マチュー・カソビッツ

哀しいな〜。パレスチナゲリラによるイスラエル選手団の銃撃による殺人はもちろん、その事件に対するイスラエルの対応、そして任命された暗殺者たち、全てが哀しすぎる。

暗殺チームのリーダーに選ばれたアブナーは今まで人を殺したことなどない。しかし愛国心と任務に対する忠誠心で他4人のスペシャリストと共に次々とターゲットを消していく。作戦の長期化による恐怖と狂気の中、単なる殺人者になってしまったのか?そして逆に命を狙われることになっていく。

3時間近い長い映画だけどさすがスピルバーグ。サスペンス的な要素を盛り上げて飽きることはない。フィクションの世界では暗殺者集団の事は良く出てくるけど、やはり真実の重みか観ていてけっこうつらい。それも冷酷非情な殺し屋ではなくて愛する家族がいる男が殺人者になってしまうのだから尚更。

アブナーが時々見るイスラエル選手団の虐殺場面の幻視。彼が直接経験したわけではないのに執拗に迫ってくる。たとえ妻とのセックスの最中でも。壊れていく彼が痛ましい。

現在でも立場、環境は違ってもテロとそれに対する報復。何も変わってないのだ。警戒せずに街を歩ける日本にいることを感謝すると同時にもっと世界に目を向けなきゃいけないな〜と反省。




県庁の星

05年日本 131分
[監]西谷弘
[脚]佐藤信介
[出]織田裕二/柴咲コウ/石坂浩二/酒井和歌子/佐々木蔵之介

適度に面白くて適度にほんわか感動して、という感じでお気楽に観られて楽しいのでデートにぴったりかしら。難しい事もどろどろした人間関係もなし。なにしろ主役の野村の私生活描写が一切ない、という潔さだもの。人生勝ち組男とビンボー女とのラブコメ、なんて王道そのものだからこれでいいのだ。

エリート意識丸出しで「いけ好かないヤツ」の県庁のキャリア公務員の野村(政治は人の上に人を作り、人の下に人を作るって言っているようなヤツ)が民間企業との人事交流研修で満天堂へ派遣される。ところがこのスーパー、経営危機というかやる気がないというか、まるでダメなのである。当然、野村の教育係となったパートの二宮(16歳からパートしていてこのスーパーの裏店長と呼ばれている)とはことごとくぶつかる。この二人の人物造形がいかにも、という感じで笑えるのだ。冷遇されているパートの悲哀もあるし。柴崎コウが可愛いのでワタクシ的に満足。

自分のキャリアに傷をつけないためにもこのスーパーの再建を目指すのだが頭でっかちの野村は失敗ばかり。周囲の反感も買って...。

で、まあ、いろいろあるのだが、皮肉のこもったラストシーンは傑作。でも改革はこの一歩からね。

にしても織田裕二って顔色悪くない?どこか体悪いの?なんて思ってしまったよ。




★クラッシュ

05年アメリカ 112分
[監][脚]ポール・ハギス
[脚]ボビー・モレスコ
[出]ドン・チードル/サンドラ・ブロック/マット・ディロン/ブレンダン・フレイザー

人種差別が日常的なロサンゼルスが舞台。1件の交通事故を中心として様々な人々の怒り、哀しみ、喜びを描いた群像劇ですっげえ重いのだけれども、これがとても面白いのだわ。私はそういった差別を意識しないで生活できる環境であるのだが、果たして心の奥底では?なんて考えてしまったよ。

で、いくつかのエピソードの中で一番印象的なのは家庭的な悩みを抱える貧しい白人警官と裕福な黒人の夫人の話。この警官は人種差別が酷いのだけれどもその心の中の矛盾をマットディロンがうまく演じている。そんな彼に批判的であった若いパートナーの話も痛すぎ。

鍵屋とその娘は必死に生きているだけにむごい話し。でも重大事には至らないで一安心。ということでみんな壊れていっちゃってつらいのだわ。

そしてもう一つの見どころはサンドラ・ブロックの顔。周囲に当たり散らし、いつも怒り顔なのだが、これがホントに恐ろしい。夢にまで出てきそうな迫力なのだ。今度は彼女とB・フレイザー(ちょっと太り過ぎでがっかり)のラブコメ観てみたいな〜。

人種差別、宗教観の違いなどがなくなり世界が一つになるなんて途方もなく先の話なのであろう。でも個人個人の行いで平和な世界に一歩づつでも近づけるってことを言いたかったのかな。




=お気に入りの映画(^0^)
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