No.159(12月10日)


007 カジノ・ロワイヤル

06年アメリカ 140分
[監]マーチン・キャンベル
[出]ダニエル・クレイグ/エバ・グリーン/マッツ・ミケルセン/カテリーナ・ムリーノ/ジュディ・デンチ

予告編では新ボンド役は随分と地味なおっさんで大丈夫かいなって思ってたけど本編を観たら筋骨隆々で渋くて意外とかっこいい。それにどんどん派手になっていったアクションは今回は地に着いているというか単にドカドカ爆発するだけではないのもリアルっぽくて好感度大。荒唐無稽な秘密兵器が出てこないのも珍しいし,派手なカーチェイスもないのだよ。

冒頭犯人を追っかけるのだがコイツが凄い!何がって若き日のジャッキーも真っ青の身体能力なんだもの。とにかく逃げる逃げる。壁,階段,建設中のビルなんてなんのその。飛び越えて登って飛び降りてとアンタほんとに人間?って唖然呆然。007も頑張って追っかけていて,このシーンだけでもアクション好きには必見。この人は役者ではなくてくパルクールの第一人者なんだって。

で,お話は諜報部員“007”に昇格しての初任務のお話。でも舞台は現代。って今までの流れからするとおかしいじゃんってことだけど,まあ,細かいことは気にするなってことなんでしょう。世界的なテロリスト組織壊滅のため、テロの資金源であるカジノ・ロワイヤルで組織のボスに高額の賭けポーカーを挑む007を描いている。ポーカーのシーンは長めだけれど駆け引き,間に挟まれるアクションで緊張感が途切れることはない。

水の都ではビルの中のアレをアレするとビルがああなってしまうってのにびっくり。ここでのアクションも手に汗にぎりっぱなし。どこまで自分でやっているのか知らないけれどボンドの肉体アクションはかっこいい!

ただ一つ残念なのはヒロイン役のエバ・グリーンがワタクシの好みではなかったことぐらいかしら。きれいな人ではあるけれどね。

蛇足ながら007シリーズで私の一番好きなのは「消されたライセンス」なのだ。




プラダを着た悪魔

06年アメリカ 110分
[監]デビッド・フランケル
[出]メリル・ストリープ/アン・ハサウェイ/エミリー・ブラント

最近には珍しい気の利いた邦題だ!って思ったら直訳なのね。で,評判通りにとっても面白かったけどファッションに敏感な女性が見たら120%増量で楽しめたのではないかと思うとその方面には全く疎い私としてはちょっと悔しかったりして。

大学を出て硬派なジャーナリストを目指してニューヨークにやってきたアンディ。将来の仕事に有利ということで一流ファッション誌「RUAWAY」のカリスマ(というより女王?悪魔?)編集長ミランダのアシスタントとして働き始める。があまりに横暴なミランダの要求と自身のファッションセンスの欠如で大苦戦,という物語。

主人公は頑張るアンディなのだけれど実質ミランダを演じたメリル・ストリープって感じ。常に強引でエネルギッシュで自信にあふれ過酷なファッション界を生き抜いてきたミランダ。あそこまで部下に厳しいのも納得。優しいだけが上司ではないのだ。でも母親としての顔,女性としての顔をフト見せる瞬間がすっごく頼りなさげでリアル。

でもそんなミランダの下で働くアンディはたまったものじゃない。プライベートなんて仕事の前には全く関係なし。無理難題にもなんとか応えなければいけないのだ。ってこの無理難題には大爆笑。そこまでわがまま言うか!

頑張るアンディがファッションに目覚めていく過程は女性なら興味津々かな。彼女の弱音に辛辣な助言をする上司(この人誰だっけ?名前が思い出せない…)の言葉は働く人全員に痛い言葉だな〜。

同僚,友人,恋人,新恋人との関係等々盛りだくさんだし,目がクリッとしたアン・ハサウェイも可愛いしで大満足。

ラストでのアンディの決断にはワタクシ的には?だけど,まあ結果オーライということなのかな。




トゥモロー・ワールド

06年アメリカ 109分
[監][脚]アルフォンソ・キュアロン
[脚]ティモシー・J・セクストン
[出]クライブ・オーウェン/ジュリアン・ムーア/マイケル・ケイン/クレア=ホープ・アシティ

ストーリーはそれほど目新しくは無いけれどその映像たるや「ド」が3つ付くくらいの異様な迫力さ。まず中盤の車が襲われるシーンが凄い!何が凄いかってカメラが車の名を自由自在に動き回って尚且つ車の外の襲撃者達と車の中のパニックの様子が1カット(5分くらい?)で描写されているのだ。いったいどうやって撮影したの?そしてラスト近くの8分間1カットの戦闘シーンはこれまた驚天動地のすさまじさ。製作費120億円の大半はここで使ってしまったのではないかしら,というくらいに力が入っている。レンズに血糊がついてもカメラは回ってるし。

これは大画面で絶対に観て欲しい,というか暗い映画館で意識を集中させて観るべき。TVの前で物を食べながら,またはおしゃべりしながらなんて許されないのだ。

お話は単純明快。2027年人類に子供が産まれなくなって18年経った荒廃した世界。セオはかつての妻,今は地下組織FISHのリーダーのジュリアンに一人の少女の護衛を頼まれる。そしてそのために政府からもFISHからも狙われることになる。ってその先はただひたすら逃げるだけ。

なぜ子供が産まれなくなったかという原因には触れないので物足りない気もするけど,これは人類に警鐘を発している映画では無いのだ。ひたすら逃げ続けるセオと少女をまるで自分が映画の中に入ったような気にさせる臨場感あふれる映像を興奮と驚きでもって体験させることを目的としているのだ。それにネタバレになるのでかけないけど,まるで本物としか思えない○○のシーンは驚愕。アニマトロニクスの技術も驚異的。

あっ,そうそうそれからマイケル・ケインにはびっくり。だってジョン・レノンにそっくりなんだもの。生きていれば多分こうなったであろうなって感じ。




手紙

06年日本 121分
[監]生野慈朗
[脚]安倍照雄ほか
[出]山田孝之/玉山鉄二/沢尻エリカ/吹石一恵/尾上寛之/田中要次

原作を読んでいたので主人公の目指すものを漫才に変えたのは失敗なのでは,なんて思っていたけどこれはこれで違った雰囲気が感じられて良かった。ラストも漫才ならではの良さも出ていたし。

兄が強盗殺人で服役している直貴が差別と戦い,破れ,人生に絶望し,それでも悪戦苦闘している様を描いた映画で色々考えさせられる。「差別は当たり前」という言葉は痛いけど真実でもあるし,けどそれを認めたくは無いし,と複雑な心境。

つらい思いをしている直貴をいつも見守っている由美子を沢尻エリカが演じていてすっごくうまい役者だな〜と感心。原作では最初はあかぬけない地味な女性ということだったけれど,メチャクチャ可愛いのだ。なのでそんな男にかまってないでアンタなら他にいくらでももっといい男がいるやろ〜って思えちゃうのがちょっとつらいところ。ということで彼女の演技と可愛さで映画の評価は30%増量したのだ。

でも「劇場は嗚咽の嵐」というのはオーバーだな。フツーに良い映画って感じ。




父親たちの星条旗

06年アメリカ 132分
[監][製]クリント・イーストウッド
[脚]ポール・ハギスほか
[出]ライアン・フィリップ/ジェシー・ブラッドフォード/アダム・ビーチ

すっごくクールな映画だな〜。感動の押し付けが一切ない戦争映画って珍しいのではないかしら。それでいて戦争の無意味さ,ばかばかしさがしっかりと伝わってくるのね。

太平洋戦争の末期、日米軍による激しい戦闘が36日間も行われた硫黄島。この戦争シーンの超リアルな映像の迫力にはびっくり。硫黄島の形が変わってしまうくらいの爆撃というのが正に実感できちゃって怖いのだ。兵士達は手足がもぎれバタバタと死んでいくし。そしてそんな中あの有名な星条旗を捧げる6人の兵士達の写真が撮られるのだ。

で,この中の3人の兵士達がアメリカ本土へ帰り,政治的に利用されることになるのだが,これもまた戦場とはまた違った意味で彼らにとってはつらい日々になってしまう。全体的にフラッシュバックが多くてうっとうしいのが残念な気はするけど。でもたった1枚の写真があんなに力を持ってしまうのって恐ろしいな。日本でも写真でのヤラセは行われていたようだけどね。

甲板から落ちた兵士がいとも簡単に見捨てられてしまうシーンにも驚かされる。「米軍は兵士を見捨てない」なんて嘘じゃん。そしてなんと日本人の描写は一切無し。そのおかげでアメリカへの批判がよりストレートに伝わってくる。いやホンマに凄い作品でっせ。クリちゃん,凄い!これは「硫黄島からの手紙」も必見だね。




=お気に入りの映画(^0^)
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