No.161(2月10日)


世界最速のインディアン

05年ニュージーランド・アメリカ 127分
[監][製][脚]ロジャー・ドナルドソン
[製]ゲーリー・ハナム
[出]アンソニー・ホプキンス/ダイアン・ラッド/ポール・ロドリゲス/アニー・ホイットル

夢を追わない人間はキャベツと一緒だそうです。
だとすると私は完全にキャベツだな〜。
でも今からでも遅くはないのだ!
という気分にさせてくれるウルトラハッピーな映画。
主人公のバートの生き方&笑顔が素敵!
だから女も男も子供も彼のことが大好きになってしまうのだ。
こんなおじいちゃんになりたい!!!

ニュージーランドの田舎町に住む老人バートは、改造バイクでアメリカのボンヌヴィルで開催される世界最速レースに挑戦するのが夢。このバイクがインディアン号なのね。題名から、なんでアンソニー・ホプキンスがインディアン?って勘違いしてしまったよ。

で、そのバイク改造が徹底的に手作業で笑っちゃうの。それは映画を観てのお楽しみだよ。でもメカの話やレース中心では全くなくて、バートの人柄や周囲を巻き込んでのてんやわんやが全く自然に、ほんわかあたたかく、ユーモアもあって、底抜けに良い気分にさせてくれるという物語なの。この映画には悪意の人は一人も出てこないのだけどバートの周囲にはそんな人はいやしないのだ、って納得できちゃう。

バートのその泰然自若さが気持ちよい。決して無理をせず人に頼る所は頼っちゃえというのが彼の年齢と1960年代という時代ののんびりさで自然なの。彼のその引込まれるような笑顔と夢を追いかける姿に誰もが助けてあげたくなってしまうのだ。それもみんな見返りを求めない無償の愛、という感じで、このオヤジ幸せ者め!って大嫉妬。

果たして彼はボンヌヴィルで世界記録を打ち立てられるのか。いやそれ以前にレースに出場できるのか!? というかそこまで無事辿りつけるのか!?

地味ではあるけれど映画好きな人は必見!!ワタシ的にはことしのベスト1はこれで決まりかも…。




どろろ

07年日本 138分
[監][脚]塩田明彦
[原]手塚治虫
[脚]NAKA雅MURA
[出]妻夫木聡/柴咲コウ/瑛太/杉本哲太/麻生久美子/土屋アンナ/劇団ひとり/中井貴一/原田美枝子/原田芳雄

予告編では妖怪のCG画像を主に流していて、それがイマイチな出来でこれはつまらなそうだと思わせておいて…。なんと本編はすっごく面白いのよ。特に百鬼丸になりきりの妻夫木がムチャクチャかっこいいの。ストーリーは原作に忠実なんだけど、舞台を戦国時代の日本に似ているアナザーワールドにしたのは大正解。おどろおどろしい設定・派手なビジュアルに無理がなくなって物語世界に没頭できたから。そして大胆などろろの年齢の大幅な引き上げ。これもどろろの心理描写、百鬼丸との関係で大いにプラスになりストーリーに奥行きが出た。

ストーリーはおなじみ、自分の身体の48のパーツを取り戻すための妖怪退治で、百鬼丸とどろろの珍道中物という趣もあって楽しい。そしてアクションもなかなかかっこいい。のだが妖怪のCGは今どきこんなのありか?っていうぐらいにちゃちいシーンもあって失笑。アンタは仮面ライダーか!?って思ってしまったもの。

でもそんな細かいことは気にせずに観ていると、戦乱の世の不条理に憤り、どろろの生い立ちに涙し、百鬼丸の家族の物語に驚愕するという目眩く幻惑の世界に大興奮。

原作は連載打ち切りのためラストが物足りなかったけれど、この映画ではそこら辺がきっちり描かれており、その悲劇に涙。

続編があるかのような終わり方だったけれど、原作にあることは全てやり尽くしてしまったからそれは危険なのではないかしら。PART2は単なる妖怪退治に終始しちゃいそうな気がするもの。

手塚治虫がこれを描いたのはもう40年も前。やっぱり天才、神様だな〜。それに現代的な味付けを加え映画化したスタッフにも拍手!!




ディパーテッド

06年アメリカ 152分
[監]マーチン・スコセッシ
[脚]ウィリアム・モナハン
[出]レオナルド・ディカプリオ/マット・デイモン/ジャック・ニコルソン/マーク・ウォールバーグ

う〜ん,オリジナルを観てない人は面白い!と思うのかな〜。
なんか似て非なる物って感じ。オリジナルが良過ぎたというのもあるんだろうけど,もうちょいどうにかならんかったのか。全体的に緊張感ないし。

マフィアのボスの内通者になるため警官になったコリン。そのボスの元に、潜入捜査を命じられた警官ビリー。だが警察とマフィアの双方でスパイ探しが始まる。という基本ストーリはもちろん同じ。

ビリーがどうやって上司と連絡を取るかっていうのにすっごく工夫があって面白かったのに,なぜ削除しちゃったのかしら。それにコリンがあの人を射殺するに至った葛藤が描かれていないのですっごく唐突だし警官のディグナムがラストにある人を殺しちゃうのも原因となった人との友情等が描かれてないので,やっぱりこれも唐突感バリバリ。っていうかどうやって事実を知ったのか?

ということでオリジナルを再見したくなってしまったよ。

でも役者達は豪華で楽しめたし,精神科医と二人の関係はオリジナルと変えてあったのは良かったかな。ベラちゃん,きれいだったし。




あるいは裏切りという名の犬

04年フランス 110分
[監][脚][出]オリビエ・マルシャル
[脚]フランク・マンクーゾほか
[出]ダニエル・オートゥイユ/ジェラール・ドパルデュー/バレリア・ゴリノ

チラシのコピーに「かつて親友だった 同じ女を愛した 今はただ敵と呼ぶのか」ってあるんだけど
「同じ女を愛した」ってそんな描写あったっけ?それに気がついていたらあのシーンも違った感じで観られたかも。主人公達の内面描写がないからツマランって人もいるだろうけど,その分アクションで想像させられて良かったのではないかしら。アクションといってもド派手な銃撃戦やカーチェイス(もあるけど)ということではなくて,言動,顔の表情ね。

正義感のレオ,野心家で利己的なドニ。彼らはパリ警視庁の次期長官候補。パリを騒がす武装強盗団の撲滅作戦でレオが指揮官に指名され、ドニは彼への対抗心をあらわにしていく。この壊滅作戦がメインの話かと思っていたら(この話ももちろん面白いのだが)後半は全く違う因縁の展開になっていきびっくり。それにダニエル・オートゥイユが強面の刑事?って思ったけど,これがかっこいいのだよ。妻や娘に見せる愛情にも涙…。それに反して憎たらしいのはドパルデュー演じるドニ。何を思っているか描写されないのでその分怖さが倍増。

男達のドラマ〜裏切り・友情・仲間〜が一触即発の緊張感をもって描かれ,予測不可能のストーリーの警察ミステリーで,レオの過酷な運命には涙するしかない。ラストも全く予想外の展開で,「お〜,なるほど」ということで仲間は裏切らないのだ。利己的なドニには縁のなかった世界。含蓄深いな〜。

それに久々にかっこよくて雰囲気を感じさせる邦題だ。




王の男

05年韓国 122分
[監][製]イ・ジュンイク
[出]カム・ウソン/イ・ジュンギ/ユ・ヘジン/チョン・ジニョン/カン・ソンヨン

なぜかコメディーだと完全に誤解していた。最初は笑いもあったけどだんだん深刻な事態にと予想のつかないびっくりの展開ですっごく面白かった。史実(1500年前後の話)とフィクションを織り交ぜってあるけどもちろん史実を知らなくてもOK。

女形のコンギルが美しすぎ。武骨でハンサムではないけど彼を守る花形芸人のチャンセンも素敵だ。同性愛物はすっごく苦手なのだが,直接的な表現もなかったし,なによりストーリーが良かったのでそんなことは気にならなかった。

史上最悪の暴君ヨンサングンの前に人気芸人チャンセンとヨンギルが連れて来られる。王を笑わせることが出来なければ死刑にされてしまうのだ。って王や宮廷を侮辱するような芸を平気で演じてしまうんだからこっちもハラハラだ。彼らの芸を観た王は果たして…。

まあ,簡単に言ってしまえば男3人+女1人のドロドロものなんだけど,段々と複雑に絡まっていく4人の感情が切ないのだ。そりゃ,みんな愛情は独り占めにしたいのは当然だけどさ。そこに権力が絡んでくるから余計に話はややこしくなっていく。

テンポよく進むストーリー,愛憎劇,豪華な衣装,ヨンサングンの得体のしれない不気味さ等々で一瞬も目が離せない。ラスト盛り上げておいてもうちょっと観たい!ってところで終わるのも潔いね。




NANA2

06年日本 130分
[監][脚]大谷健太郎
[出]中島美嘉/市川由衣/玉山鉄二/姜暢雄/丸山智己/本郷奏多/成宮寛貴

ブラストの歌が全然良くないな〜。前作みたいに一回聞いただけで忘れられないような強烈なインパクトがない。なので盛り上がるはずのアルタ前でのライブにイマイチ感が漂っちゃう。これなら前作の歌を持ってきたほうがかっこよくなったのではないかしら。空撮までやったのにもったいない。

主要キャストの入れ替わりがやっぱり問題。なんとか前作通りにならなかったのかな。しゃべり方とか一所懸命似るように特訓したのかしら。雰囲気的に似せようと頑張っているけど宮崎あおいと比べちゃうと…。それに妊娠の話も出てくるのにSEXの匂いが皆無なのも物足りない。別に全裸での絡みシーンを入れろとは言わないけれど,もうちょい演出の仕方があったのではないかしら。シンもレンもイマイチだな〜。でもレンのお腹がへっこんだのはめでたいことだ。

ブラストはメジャーデビューに向けて充実した日々を送っていた。一方、取り残されたようで落ち込むハチはトラネスのリーダーと関係を持ってしまう。またノブからも告白されるのだ。ということでハチの青春泥沼物語がメインで,こういう女性っているよね。傍から見るとそこまで流されてどうすんの〜って危なっかしいヤツ。原作は読んでないけど,この先幸せになれそうもないな。

つまらないとまでは言わないけど期待し過ぎた分,残念感が漂ってしまう。二人のナナの成長物語のはずなのに全然変わってないじゃん,っていうのもあるし。今度漫画喫茶にでも行って原作読破しようかな。

と,文句ばっかり書いちゃったけど,実はけっこう楽しんだんだけどね。これでシリーズ終了じゃなくてとことんやって欲しいような気もするぞ。中途半端ではなくてキャスト総入れ替えとかで。

しかし,やたらと携帯のアップが多いな〜。お金いっぱいもらったのかしら。




暗いところで待ち合わせ

06年日本 129分
[監][脚]天願大介
[出]田中麗奈/チェン・ボーリン/井川遥/宮地真緒/佐野史郎/岸部一徳/佐藤浩市

原作が好きだったので,どうなるかって思ってたけどすっごく良かった。成功の一因は田中麗奈の素晴らしい演技。可愛いっていうのはもちろんだけど(スッピンに近い?)役作りがしっかりしていて盲目の演技も破綻がないのはさすが。それに時折アップになる指先が繊細でとてもきれいなのにドッキリ。チェン・ボーリンも可愛いのね〜。こんな子が部下だったら懇切丁寧に教えちゃうのに。

一人暮らしの盲目の女性の家に殺人犯が忍び込んできた!っていうとサスペンスな物語かと思うだろけど,とっても静かな展開。会話さえほとんどないのだ。原作読んだ時にも思ったんだけど光を失って間がないとはいえ,いくらなんでもすぐそばに人がいたら気配で分かるだろう,っていうツッコミはご法度ね。っていうか観ている内にそんなことは気にならなくなるし。

孤独な二人の奇妙な同居生活がお互いを感じ,信じあっていく過程が丁寧に描かれていて感動的。そうそう感動的といえば土砂降りの雨の日,窓から母親の名前をよぶシーンは田中麗奈の演技,そして演出が素晴らしく胸にジーンと来る。これは名場面だね。

静かな中にも意外性のあるストーリー,語り口の巧みさ,役者達の演技。どれもがはまるところにぴたっとはまって一級の映画。なのに単館公開とはもったいない。




鉄コン筋クリート

06年日本 111分
[監]マイケル・アリアス
[原]松本大洋
[声]二宮和也/蒼井優/伊勢谷友介/宮藤官九郎/大森南朋

原作ってもう10年以上前,だっけ? 連載時にはあの独特の絵柄とストーリーについていけなくて途中で読むのをやめてしまったのだ。でも予告編を観たら面白そうだったので観賞。

原作通りの絵がスピーディーに破綻なく動くのに大興奮。日本のアニメ技術って凄いのね〜って感嘆しちゃう。宝町を自在に動き回るカメラは眩暈がするほど素晴らしい。声優陣もぴったりで違和感なし。

義理と人情とヤクザの町“宝町”で勝手気ままに生きるクロとシロのスーパーやばい少年二人がいる。そこに地上げ屋、不気味な3人組の殺し屋、ヘビと呼ばれる男が現れて町は一気に不穏な空気満載に。そして二人は自分達の町を守るために戦うのだ。といってももちろん正義の戦いではない。

いい人,普通の人が一人も出てこないのね。誰もがぶっ飛び,頭がおかしく,また暴力的。もちろん一番いかれているのはシロとクロだけど。果たして宝町はどうなるのか,シロとクロの運命は!?
ということなんだけど,やっぱりストーリー的には私の好みではなく興奮度もイマイチ。はまる人はトコトン好きって感じだとは思うのだが。




=お気に入りの映画(^0^)
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