No.175(3月16日)


バンテージ・ポイント

08年アメリカ 90分
[監]ピート・トラビス
[出]デニス・クエイド/マシュー・フォックス/フォレスト・ウィテカー/ウィリアム・ハー/エドゥアルド・ノリエガ

90分ノンストップ,寄り道一切無しの直球勝負なアクションで傑作!
直球といっても前半はかなりひねりがあって,それがまた斬新で素晴らしい。
そして後半の息つく暇もないカーアクションの連続も見ごたえ充分。

サミット出席のためスペインを訪れた米国大統領が
広場での演説中に何者かに狙撃されたのが12時23分。
その23分前からの出来事をシークレット・サービスや
観光客らの複数の視点でリピートして描いていく。
という凝りに凝った構成で,しかもそれぞれが「え〜,どうなっちゃったの !?」
というところで終わっているから,疑問と緊張の連続を味わわされるのだ。
これが時間軸を普通に追っていくストーリーだったら
ここまで面白くはならなかっただろう。

こうした構成と90分という短い上映時間のおかげで
普通なら描くところの犯人や,主人公の背景なんてのはすっ飛ばしで
アクションに徹しますぜ〜って感じで清くて素敵。

そして全てが明らかになるラストには大満足。

オジサマなデニス・クエイドに声援を送って
シワシワのシガーニー・ウィーバーにびっくりして,
という点でも楽しめた。




エリザベス:ゴールデン・エイジ

07年イギリス・フランス 114分
[監]シェカール・カプール
[総][脚]マイケル・ハースト
[出]ケイト・ブランシェット/ジェフリー・ラッシュ/クライブ・オーウェン/リス・エバンス

前作が10年前ということで内容は全く覚えてない。
が,何も問題なしだったので,未見の人も予習までする必要はないかも。

1958年,イングランド女王エリザベスの激動の時代で,
世界最強のスペイン無敵艦隊との決戦にいたるまでを描く。
とは言っても歴史物で難しい〜という事は全くなくて
処女王と呼ばれたエリザベスの恋や生き様に焦点を絞っているため
楽しく観られる。その分,物足りない感じもするけど。
(実際には恋人いっぱいいたらしい)

従姉妹のスコットランド女王メアリー・スチュワートの陰謀なんて
もっと深く描けば面白かっただろうにあっさりしすぎ。
政略結婚,甲冑を着て馬に乗るシーン等
女王様って大変ね〜という表層的な感想にとどまり
どれもあんまり印象に残らない。

その分,恋愛シーンには見どころいっぱい。
航海士ウォルター・ローリーとの恋は情熱的だし,
彼に弱みを見せる姿には思わず同情してしまう。
一人の女としての苦悩が描かれる。

ゴージャスな衣装やセット,白塗りで熱演する
ケイト・ブランシェットのお姿を楽しむ映画という感じ。




ジャンパー

07年アメリカ 88分
[監]ダグ・リーマン
[製][脚]サイモン・キンバーグ
[出]ヘイデン・クリステンセン/サミュエル・L・ジャクソン/ジェイミー・ベル/ダイアン・レイン

テレポーテーション能力のあるこそ泥と
それを駆逐する私設警察との大攻防戦を描いたもの。
こそ泥を主人公にするなら
もう少し共感の出来る設定にしなければあかんよ。
銀行のお金を盗みまくり,大豪遊,女とも遊び放題。
反省する気はゼロ。困っている人を助けるとかそういうのもゼロ。
ひたすら自分の欲望に向かってまっしぐら。
うらやましいけど,それは違うでしょ,アンタ。

気弱な少年デヴィッドが突然瞬間移動能力に目覚める。
で,することと言えばもちろん誰もが思うこと。
そう銀行強盗。
勝手気ままな生活を送るデヴィッドの元に
悪しき存在のジャンパー抹殺を目指す組織パラディンが襲いかかる。
からくも危機を脱出する彼だが…。
ってその後の行動の緊張感の無さには呆れるよ。
相変わらずテレポートしまくりで彼女とのんびりデート。
いいのか,それで。

パラディンの方を主体に描いてくれた方が共感できた気がする。
サミュエル・L・ジャクソンの白い頭も迫力あるし。

それにびっくりなのがこれは大いなる序章,Part 1だったのだ。
謎が謎を呼びっ放しで,全部次作で解決できるのか?
多分Part 2はヘイデン”アナキン”クリステンセンが彼女を殺され
悪の理力に取り込まれ母親と対決する,
というストーリーになるのではないかと思われる。

デヴィッドのガールフレンドは中学生の時は可愛かったのに
大人になったらイマイチだったのも残念…。




ガチ☆ボーイ

08年日本 120分
[監]小泉徳宏
[脚]西田征史
[出]佐藤隆太/サエコ/向井理/仲里依紗/宮川大輔/泉谷しげる

単なる青春おバカコメディーだと思っていたのだが
ひじょうに素晴らしくて何度も泣けてしまった。

司法試験を一発で合格するほどの秀才五十嵐が
大学の超しょぼいプロレス研究会に入ってきた。
ってほんとにしょうもないんだわ,これが。
冒頭の試合なんか失笑する気も起きない情けなさ。
で,この五十嵐は背は高いけれどもひ弱。
おまけに段取りを覚えられなくてみんなに迷惑ばかりかけている。
という笑える前半が五十嵐の病気が明かされると一転,これが悲劇に…。
はならないところがいいんだわ。
難病なんだけれど,すっごく前向きで情熱的で,それでも迷惑かけるけれども
それを仲間で補って,と悲劇で泣かせるんじゃなくて爽やかな涙が何度も出てくるの。
この仲間がみんな個性的でとっても楽しい。若いっていいな〜って感じ。
(サエコちゃん可愛い…)

兄の大ピンチに妹が一所懸命に自転車を走らせる姿,
父親の息子を思う気持ちに,しみじみ〜。
この父親を泉谷が演じているんだけど彼を観るのは20数年ぶり。
パンクを歌っているとき大好きでよくライブに行ったのだ。
それが渋い親父を演じているなんて時代を感じるな〜。

そしてラストの大イベント,学祭での他校との試合。
これがスタントなんて使わずに正にガチンコ勝負。
ムチャクチャ盛り上がって感動させながらも笑いがいっぱい。
五十嵐の笑顔が涙でぼやける。

笑って,泣いて,そして元気になれる映画ということで
見逃すと一生後悔するよ。




歓喜の歌

07年日本 112分
[監][脚]松岡錠司
[出]小林薫/安田成美/伊藤淳史/由紀さおり/浅田美代子/藤田弓子

前半はなんかしょうもない話しだな〜,笑いも緩いし,という感じだったのに
後半加速度的に面白くなり,涙まで出てしまうということで大満足。
泣けるのはラストではなくて中盤のコーラスシーンで
歌っていいな〜って素直に感動。

そしてびっくりなのが原作は立川志の輔の創作落語ということで
どんなふうに演じているのか聴いてみたい。

町の文化会館(職員みんなやる気ゼロの吹きだまり)に勤める飯塚は,
翌日の大晦日にママさんコーラスグループをダブルブッキングしたことに気付く。
もちろん双方とも出演を譲らず飯塚は四苦八苦。
おまけに自身の家庭内トラブルも加わって七転八倒。
果たしてこの危機を乗り越えることが出来るのか!?

こんないいかげんな役人絶対にいるよという飯塚を演じる
小林薫が抜群にいいの。
もう,ホントに情けなくて涙が出ちゃう。

で,彼を助けることになるコーラスグループのリーダーの安田成美が
すっごく可愛くてびっくり。いったいアンタいくつやねん。
太陽のような笑顔も素敵。
どちらかというと役者連はTV関係が多かったので
私にとってはみんな久々に観る人ばかりで,みんな年取ってしまったな〜,と
ちょっと寂しくもなったりして。
その中で変わらないのが彼女と由紀さおり。
由紀は昔から老け顔という気はするが…

メインストーリー以外に登場人物のエピソ−ドが散りばめられていて,
2時間弱によくまとめたなって感心のとても良く出来ているストーリー。

家族っていいな〜,相手を思いやるって大切だな〜,と
自然と心にしみ込むような語りがとても素晴らしい。
惜しむらくはなぜに年末に公開しなかったのかという事。




チーム・バチスタの栄光

08年日本
[監]中村義洋
[脚]斉藤ひろし/蒔田光治
[出]竹内結子/阿部寛/吉川晃司/池内博之/玉山鉄二/井川遥

コメディー映画と勘違いしてた。
けれども竹内結子と阿部寛演じる女医&役人の凸凹コンビの
掛け合いが楽しく,クスクス笑えるところいっぱい。
阿部寛はまたしてもクセのある嫌味な役柄でホントにぴったり。
竹内結子の生足ホットパンツ姿が観られるのはおまけにしては
お得感があるけど,いらないんとちゃう?特に2回目は…。
それに医療サスペンスというほどの謎解きやドキドキ感がないのは残念で
全体的にユル〜イ雰囲気が漂う。

でも心臓手術のシーンは大迫力で本物?って思えちゃうほど。
何回も出てくるので苦手な人は要注意。
ってこれも1回で充分な気がするが。

不定愁訴の患者とのやり取りも何回も出てくる割には
おもろーないし。

“チーム・バチスタ”と呼ばれる医師集団。
彼らの手術中に3件連続で患者が死亡。
内部調査を任された心療内科の女医・田口と厚労省の白鳥が調査に乗り出す。
ということで完全密室の手術室での事件は事故か殺人か!?

心臓が止まるほどのスリルとサスペンスにはほど遠い
手に汗握らない気軽に楽しめるミステリー映画。
TV放映時に何人かでワイワイ言いながら見たらとっても楽しめそう。




アメリカン・ギャングスター

07年アメリカ 157分
[監][製]リドリー・スコット
[総][脚]スティーブン・ザイリアン
[出]デンゼル・ワシントン/ラッセル・クロウ/キウェテル・イジョフォー/キューバ・グッディング・ジュニア

実話が元になっているということもあるのだろうけど
ギャング映画でイメージする派手な演出,アクションは全くなし。
なのに2時間半という長丁場を飽きることなくみせてくれるのは
主役二人と監督に力があるからか。
けど主役二人どちらにも感情移入できないので
第三者的な見方になってしまうのがちょっと物足りない。
デンゼル・ワシントン演ずるフランクの内面をもっと描いてくれたら
大感動物語になっていたかも。

それに,見ごたえはあったのだけれどエピローグがイマイチ感漂うのだ。
二人の心境の変化を丁寧に描くべきなのに,なんか早足で駆け抜けて
あっさりしすぎ。というかそれで終わりかい,って感じ。
せっかく2時間半面白かったのに残念。

1970年代,ベトナム戦争まっただ中のニューヨーク。
ギャングの運転手だったフランクはボスの死後,
大胆な取引を成功させて大儲け。
黒人でありながらイタリアマフィアを凌ぐボスとなる。
ところが刑事のリッチーが彼に目をつけ追ってくることになる。

この二人が同じ仲間からは浮きまくっているというのが面白い。
皆,賄賂を受け取りうまくやっているのに絶対に正義を貫こうとするリッチー。
(なんと2/3が汚職刑事!)
持ちつ持たれつの世界なのに自分の進む道をひたすら進もうとするフランク。
特にフランクの行動力には「悪」ながら見習うところはいっぱいある。
お金を儲けるには人と同じことやってちゃあかんのよって事ですな。
命も懸けにゃならんし。




Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!

07年イギリス 89分
[監]スティーブ・ベンデラック
[出]ローワン・アトキンソン/エマ・ドゥ・コーヌ/マックス・ボルドリー/ウィレム・デフォー

大爆笑というシーンはないけれどずっとクスクス笑っているので
顔の筋肉が柔らかくなってしまった気分。
前作(といっても10年前)はイマイチな出来だったけれど
最後の(?)Mr.ビーンということで気合い充分。
というか相変わらず緩いのが面白いのだけれど。

ビーンはセリフはほとんど無しで,あの表情と体で笑わせてくれる。
下ネタ,地域限定のネタが無いのも安心でお子様連れでも問題なし。
それにストーリーがしっかりしているのがうれしい。

教会のくじ引きで1等の南仏旅行を当て,パリ経由で列車の旅に出たビーン。
いつものことではあるけれどトラブル続出で列車から追い出される羽目に。
そこで知り合った少年を連れてカンヌを目指すことになる。
という後半からは加速度的に笑いが増量。
オペラのアリア「私のお父さん」のビーン氏によるパフォーマンスは,
笑いながらも感動しちゃったりして。

この珍道中ももちろんおかしいのだけれど
ウィレム・デフォー演じる勘違い監督が傑作。
ホントにこういうのいそうだよ。

途中から絡んでくる
サビーヌ役のエマ・ドゥ・コーヌが可愛いのもポイント高し。

ミュージカル風のラストがほんわか暖かくて気持ち良い。

エンドロールの後も映像があるのでお見逃し無きようご注意を。
(ってそれほどな物でもないが…)




ヒトラーの贋札

06年ドイツ・オーストラリア 96分
[監][脚]ステファン・ルツォヴィッキー
[原]アドルフ・ブルガー
[出]カール・マルコビクス/アウグスト・ディール/デービト・シュトリーゾフ

薄い木の壁板の向こうは地獄。こちらは側はピンポン場。
向こうにいるのは捕らわれのユダヤ人。こちら側も同じく捕らわれのユダヤ人。
芸は身を助けるというけれど,あまりにも過酷。

ベルンハルト作戦。それはナチス・ドイツによる
イギリスやアメリカへの経済的打撃を与えるための紙幣贋造事件のこと。
強制収容所へと送られ,その才能を見込まれてナチスの秘密作戦に加担させられた
ユダヤ人贋作師サリーを中心に描いたストーリー。
作戦に積極的に関わり生き延びようとする者,
捕虜とされながらも正義を貫こうとする者。
この2つの考え方がぶつかった時にどちらを支持するか。
どちらにせよ生と死は隣り合わせ。

サリーの表情はあまり変わらないけど仲間を思う気持ちに胸が打たれる。
彼のしたたかさと繊細さを見事に表現したカール・マルコビクスが素晴らしい。
ラストの彼の行動は史実とは違うと思うけれど,あまりの空しさが痛すぎる。

映画としてサスペンスフルでスピーディーで面白い,というだけではなくて
こんな歴史があったのだと知ることが出来たという意味でも
観て良かったという感じ。

エンドロールの後に重要な事実が明かされるので最後まで観ることをお勧め。




テラビシアにかける橋

07年アメリカ 95分
[監]ガボア・クスポ
[原]キャサリン・パターソン
[出]ジョシュ・ハッチャーソン/アナソフィア・ロブ/ロバート・パトリック/ズーイー・デシャネル

美少女大好きなロリコンにはたまらん映画かも…。
「チャーリーとチョコレート工場」にも出ていたアナソフィア・ロブの
笑顔がメチャ可愛いのよ。
あまりにも整いすぎた顔立ちにはホントに子供?っていう気分にもなったりするけど。

小学5年生のジェスはいじめられっ子。そんな彼の楽しみは絵を描くこと。
そして都会から転向してきた美少女レスリーは想像力が豊かすぎてちょっと変わり者。
このクラスからは浮きまくりの二人は家の裏の森をテラビシアと名づけ,
その空想の国で日々冒険を楽しむのだった。という物語。

最初はレスリーの設定にドン引きだったジェスの様子が笑える。
でも段々のってきて飛んだり跳ねたり,怪物と戦ったりするのが楽しい。
この過程が丁寧に描写されているので説得力充分で
そういえば子供の頃は色々空想したよな〜って,思い出せる人には
さらに楽しめるのではないかしら。
涙が出ちゃうほど懐かしい気分。

でもそんな幸せは長くは続かないのが悲しいところ。
大人になったのではなく,子供として一歩成長したというラストがグッと来る。
テラビシアはいつでもどこでもあるんだ,ということ。
ここでジェスの妹の表情がこれまた良いのだ。

主演の子供二人も良かったけど「ターミネーター2」で冷徹な追跡者を演じた
R・パトリックの不器用で無骨な父親も良い感じ。

正に大人のための良質なファンタジー。もちろん子供と一緒でも頼めること確実。




=お気に入りの映画(^0^)
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