No.46(99年10月18日)


グロリア(98年米)

監:シドニー・ルメット
脚:スティーブ・アンティン
出:シャロン・ストーン

映画が大好き、と言いながらカサヴェテスのオリジナルの「グロリア」は未見なのです。リメイク版の主役はシャロン・ストーンだし、予告編などの印象からはもっとバリバリのアクション物かと思っていたのでかなり肩透かしをくらってしまいました。
刑務所で3年の刑期を終えて出てきたグロリア。このときの衣装がすっごくセクシー。胸元が大きく開いてスカートのスリットも大胆、ピンヒールでカツカツと歩く姿に街行く人がみんな振り返るのも納得。
で、昔の仲間のところへ戻ったら待っていたのは冷たい仕打ちと裏切り。たまたまその場に監禁されていた少年を道連れにアジトからの脱出を図るんですが、この少年が組織の秘密を握っていたからさあ、大変。どこまでも追われる羽目になってしまうのです。
その逃避行で銃をガンガンぶっ放して、タフな女になるのかと思ったらけっこうメソメソしてばかり。ギャング、カーチェイス、殺しと、派手になる要素はいっぱいあるのに全体的にはとっても静かな印象。もっとスカッとさせて〜って感じ。ならばグロリアと少年の心の通う様をもっと丁寧に描いて欲しかったな〜。
渋東シネタワーで観たのですが観客が25人くらいしかいませんでした、ということで2週間で打ち切りネ。




双生児(99年日)

監・脚:塚本晋也
出:本木雅弘/りょう/筒井康隆

これはすごい、誰が観てもワクワク、ゾクゾクすること間違いなし。まずメイクからして異様。みんなまゆ毛がないのよ(でもホントに剃ったらもっと良かったのに)。これだけでも不気味な迫力十分なのに映像も幻想的でパワフルでおまけに淫靡。
裕福な医者の家庭で育った雪雄と貧民窟で生きてきた双子の片割れ捨吉、記憶喪失の雪雄の妻りんの3人が織りなす愛と憎悪の濃密な心理スリラー。江戸川乱歩の原作では捨吉が雪雄を井戸に落とすところで終わっているのであるけれどこの映画はそれからが本番。

本木雅弘が双子を演じているんだけど、その迫力たるや凄まじく、鬼気迫る感じ。特に捨吉が井戸の底の雪雄にありったけの憎悪をまき散らすところなんてあまりの恐ろしさに今晩夢に出てきてうなされること
確実。そして妻のりんも妖しの魅力がほとばしってます。
全く同じ顔を持つ二人の男の間で、過去が暴力的に迫ってくる様は
圧巻。表情もなまめかしくてそそられちゃいます。
映画館(新宿のシネマカリテ)の音響設備のせいだと思うのだけれど
声がこもっていて時々なにを言っているのか
わからないところがあったのはちょっと残念。




シンプル・プラン(98年米)

監:サム・ライミ
脚:スコット・スミス
出:ビル・パクストン/ビリー・ボブ・ソーントン/ジェーン・フォンダ

ホラー専門かと思っていたサム・ライミ監督がとびっきり恐いのを撮りました。恐いと言っても普通の人達がだんだん狂っていってしまう恐怖。
兄弟のジェイコブとハンクとその友人ルーが雪の降り積もる森で墜落した飛行機を見つけるんです。その中になんと440万ドルもの大金があったのね。そして3人はやばい金とは知りつつも盗んでしまうんです。そんな金さえなければ今まで通りに平凡に暮していたはずなのにハンクの妻、サラをも巻き込んで深みにはまっていき、ささいな歯車の食い違いが事件を引き起こしその事件が次の惨劇を呼び、死体がゴロゴロ状態。そんな中、最後に生き残るのは誰か。ラストはあまりに哀しくて恐いです。
ムチャクチャ冴えないジェイコブ役のソーントンの演技が最高。折れたメガネをテープで止めて、「今まで女性とキスしたことがないんだ」なんて告白するところなんて、まるで自分を見ているようで涙が出てきちゃいました。彼の演技だけでもこの映画を観る価値があると思います。「スリング・ブレイド」「アルマゲドン」にも出ていたけどあまりのなり切り演技に同じ人が演じているとはとても信じられません。
サラが夫のハンクをなじるんですね。「もう貧乏はイヤ、レストランに月に一度行って、贅沢したと思ったらデザートは家に帰ってから」こんなこと女性から涙ながらに言われたらあたしゃ落ち込んで二度と立ち上がれないかも。




ウェイクアップ!ネッド(98年英)

監・脚:カーク・ジョーンズ
出:イアン・バネン/デヴィット・ケリー

主役の二人のおじいちゃんが可愛いのよ。ボケとツッコミのコンビでほとんど子供の大冒険って趣かも。そして出演者の平均年齢は確実に60歳近くいっているのではないかしら、と思えるくらいにジジババばっかり。でも素朴な暮らしの中でみんないい顔してるし、いきいきしているのね。
アイルランドの52人しか住民がいない小さな小さな村でのお話しで、そこの独居老人ネッドがなんと12億円の宝くじを当ててしまったのです。でも、でもね、そのショックでポックリ逝ってしまったのですよ。そのことを知ったジャッキーとマイケルはネコババしようと計画を立てるのだけれども、村を総出の大騒動に発展していってしまうのです。
大爆笑ではないけれどもクスクス笑っているうちに登場人物みんなを好きになっちゃいます。ただ一人だけ憎たらしい強欲ババアがいるんですけど、天罰が下る様はちょっとブラックな笑いで、それはちょっとあんまりじゃんって感じ。12億円なんて全く想像もできない金額で当たっても何に使っていいか途方に暮れてしまいそうだな〜。




秘密(99年日)

監:滝田洋二郎
脚:斉藤ひろし
出:小林薫/広末涼子/岸本加世子

原作はすっごく面白くて大好きなのです。娘の体に宿った妻と、夫平介の奇妙な生活と騒動を切なく、優しく、哀しく、時には激しく描いていて、いろいろな賞を取ったのも納得の大満足な作品。
広末涼子主演で映画化されると知って期待半分、不安半分ってことであったのだけれども、観てよかった。やっぱり泣けてしまったのですよ。観てから読むか、読んでから観るかっていうのはいつもながら頭を悩ませる問題ですが、今回は読んでから、というのが正解だったみたい。原作の美味しいところだけを頂いて2時間に手際良くまとめてあるけれど、平介の心の葛藤、嫉妬、肉欲などがさらりとしていてちょっと物足りないという気がするのです。先に原作を読んでいたおかげで、その部分を補うことができてより物語に入り込めました。
夫役の小林薫、妻役の岸本加世子がうまいのはもちろんですが、精神は妻で、体は娘という複雑な役を広末涼子が素直に演じて魅力的。
しかし平日の昼間ということもあるのかな〜、観客が20〜30人で閑散としていたのは広末の人気を思うとちょっと意外。
マークは原作と合わせて、かな)




リトル・ヴォイス(98年英)
監・脚:マーク・ハーマン
出:ジェイン・ホロックス/ユアン・マクレガー/マイケル・ケイン/ブレンダ・ブレッシン
とっても地味で静かで真面目なだけの映画かと思っていたら、とんでもない。おかしくて楽しくて笑いがいっぱいで、それでいてさわやかな感動が味わえるという一粒で何度でも美味しい状態でした。
大好きだった父親との死別、母親との確執から極端に無口になってしまったLV(エルヴィ)は父の残した数々のレコードを聞くことだけを楽しみにしていて、そっくりに、というより完全に同じに歌えるようになっていたのです。
ある日、母親が連れ込んできたプロモーターのレイがLVの歌声を聴いて金になる、と直感したことから彼女の周りはにわかに
慌ただしく大騒動になっていっちゃうんですよ。
この母親がけたたましくハデ好きで下品で、それが全て超弩級なので大笑い。でもこんな人いるよなって感じ。落ちぶれたとはいえ海千山千のレイはずる賢いのよ。化けの皮がはがれて親切な人から一転、強面に豹変しちゃうのが恐いくらいにリアル。そしてLVに淡い恋心を寄せる青年のビリーが可愛いの。鳩オタクでシャイでやっぱり無口。そんな彼がLVを口説く場面は大爆笑。応援したくなっちゃいました。というふうにLVを取り囲む面々が味わいのあるドラマを作りだしているのです。そしてヒロインのLVもただ無口でおとなしいだけじゃないの。圧巻なのは彼女が次々と繰り出す歌の数々が感動的なライブシーン。躍動感と高揚感が溢れているのは本人が歌っているから。ほんとになり切っているのです。でもそこで歌われるジュディ・ガーランド、ビリー・ホリデイなどのオリジナルを知っていたらさらに十倍は楽しめたであろうにと思うとちょっと残念でした。
本編の前に数分の短編「desert」の上映がありました。リトル・ヴォイスでビリーを演じていたユアン・マクレガー主演。タイトルロール30秒、本編90秒、エンドロール60秒くらいの一発芸的なものなのだけれど、面白いの。ネタばらしになるので中身は内緒だけど彼のファンなら必見。



ディープ・ブルー(99年米)

監:レニー・ハーリン
脚:ダンカン・ケネディ
出:サフロン・バローズ/トーマス・ジェーン/サミュエル・L・ジャクソン/LL.クール・J

こ、恐いですぅ〜、緊張しまくりで劇場が明るくなったらホッとしたほど。力が入りすぎて肩までこってしまった感じ。映画を観ていてリアクションしちゃうことなんかめったに無いけど、悲鳴とともに思わず体が反応してしまったよ。日曜日などの満員の劇場で観たならばきっとあちこちで女性の(男性も?)叫び声が聞こえたことでしょう。
物語は超単純でバイオテクノロジーによって頭の良くなった巨大鮫3匹が孤立して水没しかかった海の研究所で大暴れするというもの。
誰が生き残るのか、喰われちゃうのか。え〜、こんないい人が死んじゃうなんて〜、ひょっとして全員殺されちゃうのかも〜。当たり前だけど鮫は非情なのですよ。
鮫のお姿も後半はバンバン出てくるのですが、そのどう猛な面構え(歯をむき出すところなんておしっこちびりそう)と俊敏な動きがリアルでほんとにこいつら頭良さそうなの。迫力十分の水中での戦い、ド派手な爆発、危機また危機の連続で心臓バクバク状態でした。この手の映画にありがちな登場人物のキャラクターがはっきりしないというのもなくて見ごたえ十分。




=僕のお気に入りの映画(^0^)
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