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★シックス・センス(99年米) 監・脚・出:M.ナイト・シャラマン これから先は読まないで一刻も早く劇場へ急いだほうが良いかも。何も前情報を仕入れないで観るべし、だ。 ホラー映画といっても血まみれのゴーストは出てこないし、常とう手段のこけおどしの音響効果もなし。なのにぞくぞくっとくるほど怖いのよ。そして怖い怖いと思っているとラストでは大感動の嵐で、涙があふれてきてしまう(単に涙腺が弱いだけとも言うが)。 それは生きている人間達の思い、情の絡み合い、そして死者達の思いが丁寧に描かれていると同時に次に何が起こるか全く予測不可能なおもしろさがあるから。 ブルース・ウィリスの抑えた演技がいいのはもちろんだけど、死者が見えてしまう少年を演じたヘイリー・ジョエル・オズメントのうまさ、なりきり度は驚異的。自分の能力と宿命におびえ、絶望している少年という複雑な設定を圧倒的な説得力で体現している。彼の演技と表情を見ているだけでもこの映画を観る価値あり。 この映画はなるべく二人以上で観ることをお勧め。というのは映画館を後にしたら「え〜、ということはあれはこうなっていたの〜」「じゃあ、あのシーンは...」などと盛り上がること確実。そしてその話しをしているともう一回観に行きたくなること、これまた確実。一見、矛盾しているかのような言動も実に破綻無く描かれていることにびっくりするはず。もう一回繰り返す。友達から情報を聞かされてしまう前に一刻も早く観に行くべし。そして怖がれ、おどろけ、泣け〜! |
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HEART(98年英) 監:チャールズ・マクドガル 映画が始まったとたんに出てくる血まみれの女性が手に持っているのが多量の鮮血が滴り落ちている紙袋。どうやら中には心臓が入っているもよう。と、衝撃的なオープニングで始まるサイコスリラー。その彼女の述懐によって過去へとさかのぼって衝撃の物語が語られるのです。 浮気を重ねる妻とけんかして興奮のあまり心臓発作で倒れてしまったゲイリーはある若者からの心臓移植によって再び健康体に戻れる。心臓提供者に興味を持ったゲイリーはその母親マリアと接触してしまうのよ。これが冒頭の女性ね。だからやめなさいって言ったじゃない。そんなことしたらろくな結果にならないんだから。というわけでゲイリー、その妻、浮気相手、そしてマリアの四人の嫉妬、妄想、肉欲、復讐の全部が揃った狂気の物語が幕を切って落とされることになるわけ。 大事な一人息子の心臓がゲイリーの中でまだ生きて目の前にあるということで少しおかしくなってしまうマリアは恐いけど、その過剰で偏執的な愛、そして悲しみには涙しちゃいます。そしてゲイリーは嫉妬深くて執念深くてちょっと嫌なヤツだし、妻の浮気相手は自信過剰でサイコーに嫌なやつ。こんなやつと浮気するぐらいだから妻も可愛くないのよ。んで、ちょっとずつおかしくなった四人が顔を合わせてしまう衝撃的なラストにびっくりしたら、おまけのラストがあってそれにまたまたびっくり。 |
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バッファロー'66(98年米) 監・脚・出:ヴィンセント・ギャロ 激混みで敬遠してたけど空いてきたということで公開後3ヶ月以上たってやっと観てきた。まず新装開店のシネクイントだが、やっと映画館らしくなってくれた。以前は事務用のパイプ椅子だもんね。長時間観ていると腰とおしりが痛くなってきたけどこれで安心。 まず本編の前にビンセント・ギャロ監督・主演の最新作が上映された。これが数分の短編なんだけど、サイレントってのはいいのだが、なんだこれ、あまりのつまらなさにスクリーンにトマトをぶつけたくなってしまったよ。まるで8mmビデオを始めて持ったあんちゃんがガールフレンドといちゃついている様子を撮ってみました、という雰囲気。これを有り難がるのは彼のコアなファンだけのような気がするぞ。 気を取り直して本編ね。5年ぶりに出所して故郷のバッファローに帰ってきたビリー。親のところへ向うのだけれど、政府の仕事をしていて、妻と一緒に帰ってきたことにして服役のことは内緒にしている。なので通り掛かりの女性レイラを拉致して妻になりすませと強要する。そんなあなたむちゃくちゃでんがな〜。でも家族の前でなんとかレイラはうまくやるのね。この両親がまた変わってる人たちで、そのおかげでばれなかった、ということかしら。アンジェリカ・ヒューストンが演じるクレイジーな母親の存在感は抜群。全てとんちんかんで笑っちゃうのよ。 男女の出会いなんてのは千差万別、もちろん誘拐によって恋が芽生えることもあり。不器用で情けなくて強がりばかり言っていながら本当は小心者のビリーの中にレイラは愛を見つけるの。でもレイラを意識してパンツのままお風呂に入ってしまうという情けなさには大笑い。まあ、この年まで童貞だったのだから無理はないかも。 でもビリーには自分の人生を狂わせた男に死を賭けた復讐が残っていた(と言っても完ぺきな逆恨み)。ん〜、人生で始めての愛が得られそうなのになぜに死に急ぐかね、この男は。というのを演じたビンセント・ギャロが最高にクール、でも笑っちゃうのだけどね。 そしてこの映画を楽しめたのはレイラ役のクリスチーナ・リッチがいたからこそ。ちょっと太り過ぎであちこちタプタプしてるけどまるで天使のよう。最初の冷たく突き放した眼からだんだん彼のことを好きになっていく表情がいいのです。「アダムス・ファミリー」の名子役から早9年、もっともっと個性的で変な女優になっていくことでしょう。楽しみ、楽しみ。 |
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黒猫・白猫(98年ユーゴスラビア) 監:エミール・クリストリッツァ 美しき青きドナウ川のほとりで繰り広げられる珍妙なる大騒動の数々、っていうよりひたすらノーテンキな、っていうより単なるオバカな人々の狂想曲。 石油列車ハイジャックに老人同士の厚い友情、若者同士の許されない恋、新興やくざとの攻防などなどパワフルでなんでもありのけたたましさにびっくりしているうちに、こんなんありですか〜という驚愕と腰砕けの笑撃のラストまであっという間の2時間10分。ストーリーがどうのこうのとか、おもしろいとかおもしろくないとか考えていては楽しめない。俳優ではなくて本当のジプシーの人たちの陽気でイジョーなノリを全身で受け止めイヤなことは全て忘れて人生幸せって気分。 ヒロインが「ストリート・オブ・ファイヤー」の冒頭のライブの場面を見ながら踊っているシーンがあったのだが、わたくしもあのシーンは大好き。わくわくするような高揚感と期待感。あ〜、あのダイアン・レインをまた観たくなってしまった。 |
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ブロークダウン・パレス(99年米) 監:ジョナサン・カプラン 高校の卒業旅行でタイを訪れたダーリーンとアリスは無二の親友。開放的な気分の二人はニックという青年と出会って香港へと行こうとするのだけれど、空港で彼女達の荷物から多量のヘロインが出てきて逮捕されちゃう。旅先でやたらめったら人を信用してはだめだよね。それがハンサムで言葉巧みな男なら尚更。そしてなんと懲役33年の判決を受けてしまい、投獄されてしまうのだ。 ってことですんごく面白くなりそうだったんだけど、なぜかイマイチ緊張感に欠けてしまうの。ならばせめてサスペンスを盛り上げる音楽でもあれば良かったのに、それもなかったしね。 無実の罪で投獄された二人の絶望や恐怖感があまり感じられなかったから、単に海外旅行は気をつけましょうという政府の啓蒙映画にも思えてきてしまった。 投獄されてだんだん薄汚れていってもあのクリクリと動く大きな目のクレア・デーンズはやっぱり可愛い。そして始めて見たのですがケイト・ベッキンセイルという女優も清楚な感じがして良いのよ。二人を鑑賞して幸せな気分になれたということで満足、かな。 |
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★グレイスランド(98年米) 監・脚:デヴィット・ウィンクラー もう11月だから言っても良いよね。この映画が今年のわたくしのベストワンに決定! 笑いと涙と愛と優しさと不思議がいっぱいいっぱい詰まった映画。もう信じられないくらい傑作なのよ〜。 愛する妻を交通事故で失い、生きる目的を見つけられずに漫然と車を走らせていたバイロンはおっさんのヒッチハイカーを拾う。彼は“エルヴィス”と名乗っておりグレイスランド(プレスリーの住んでいた豪邸)に帰る途中と言うのだ。もちろんバイロンは彼がエルヴィス・プレスリーだなんて信じるわけはないのだけれど、不思議なことがいろいろ起こり始める。 このエルヴィスをハーヴェイ・カイテルが演じていて、そのあまりのそっくりさ、なりきり度120%の演技が楽しくて大笑い。なので最初はコメディー調の軽い映画かと思っていたら後半涙が出て止まらないのだ。それも全然悲しい場面ではないのに泣けてきちゃうの。 「大切なのは悲しみを受け止める勇気を持つこと」「人生はやり直しがきく」というテーマで泣けてきちゃうのかしら。とても地味だけれどぜひぜひご覧あれ。エルヴィスのファンではなくてももちろんダイジョーブ。ラスベガスのステージ上でのブリジット・フォンダのマリリン・モンローそっくりさんとエルヴィスの素晴らしいパフォーマンスは必見。 |
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タイムトラベラー(99年米) 監・脚:ヒュー・ウィルソン 1962年、核戦争があると早とちりした科学者夫婦が核シェルターに閉じこもり、そこで男児を出産。35年間もパパとママの元で純粋培養されたアダムが生まれて始めて地上のロサンゼルスに出てきたからさあ大変というカルチャーギャップをギャグにしたもの。 とにかく前半の核シェルターでの生活描写が面白い。食料はたっぷりだし、水耕栽培の畑や養殖魚のいけす、スーパーマーケット並みの貯蔵室まであって、それを造りあげた亭主は満足しきっているけどママはそんな夫を支えながらも地上が恋しくて、アルコール浸りになっている。そのボケとツッコミの漫才夫婦のような生活が笑える。演じているのがいつもは硬派な役が多いC・ウォーケンとシシー・スペイセクというのも楽しい。 なのに後半、アダムが地上に出てからの大ボラが不足気味なのがちょっと残念。意外とこじんまりとまとまってしまって、もっともっとギャグが炸裂しそうな雰囲気だったのに。でもブレンダンは天真らんまん、誠実で素直な60年代ボーイを演じて楽しそう。あのちょっと間の抜けた顔がぴったりはまっている。 そういえば彼は「原始のマン」という映画で現代に蘇った原始人という役でやはり天然大ボケギャグをかましていたな。 |
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★I LOVE ペッカー(98年米) 監・脚:ジョン・ウォーターズ これはびっくり。「ターミネーター2」でデビューして以来、映画の中ではいつも暗くて陰気な役が多かったエドワード・ファーロングがなんと、にっこり笑顔の大奮発だもの。屈託が無く、ひょうひょうとした雰囲気がいいね。 ペッカーはママからもらった中古カメラで自分の住む街ボルティモアの人たちを撮るのが大好きなカメラ小僧。でもピンボケやなにが写っているのか不明なものばかり。アルバイト先のハンバーガーショップで個展を開いたところに、たまたまニューヨークのアートディーラーが訪れ、あっという間に売れっ子になってしまうのだ。 ペッカーよりも主役はこの街の変な住人達と言ってもいいかも。彼のガールフレンドは笑っちゃうほど異様なくらいに仕事熱心なコインランドリーの店長で、絶好調のクリスティーナ・リッチが演じていて変な魅力爆発。ニューヨークに行っても店のことが片時も頭から離れないのよ。一番おかしいのはマリア像の声を腹話術で演じていながらマリア様がしゃべったと本気で思っている彼のおばあちゃんと、甘いもの中毒の妹で、壮絶すぎて大笑い。 男性ストリップバーでの究極のテクニック「ティーバッグ」には驚き。ストリッパーが自分のタマタマをお客の頭にのっけることなの。ほんとにこんなのあるのか?でもこの映画のお蔭ではやりそう。等々、さわやかな(?)青春コメディー映画なのに15才以下観賞禁止というその悪趣味なカラクリには思わずニヤリ。なにしろペッカーという名前、スラングで男性自身のことなんだって。 |